漫画編集者さんに酷いことを言われたことがありますか?
皆さんこんにちは、この記事を書いている時点で46歳のまだまだ新人漫画家よっしーです!少年画報社のアプリ「マンガDX+」で糖尿病内科医が主人公の医療漫画を連載中です。
さて、XなどのSNSをやっていると、たまに「漫画編集者にこんなひどいことを言われた!」という漫画家さんや漫画家志望さんたちの嘆きを目にすることがあります。
何を隠そう、私も漫画家デビューする前に漫画編集者さんからコメントがもらえる某マンガ投稿サイトに投稿したところボロクソに書かれて「お前に何が分かるんだ、バーカバーカ」と心のなかで叫んでサイトを退会したことがありますから、彼らの気持ちはわかります!!
そして、現在の担当編集者さんとも最初から今みたいな良い関係だったわけではなく、最初はいろいろと認識のズレがあったりしました。これは、どちらが悪いということではないかも。
「漫画の出張編集部でひどいことを言われた」というのは、もしかしたら初めて会う人だったから…という理由もあるのかもしれませんね。それと相性も。
まあそんなこともありますけど、漫画を描くにあたって、あなたの「担当」となった漫画編集者さんは敵ではなく大事なバディだと私は思います。今回はそんなお話です。
出版社の編集者さんと漫画家さんの関係の話ですね。
仕事として漫画を描くなら、避けて通れない話ね!
漫画編集者が漫画家のバディだと思う理由
漫画編集者と漫画家は、商業漫画の制作においてお互いに協力し合う関係です。「漫画は自分ひとりでも描ける!」と思われるかもしれませんが、商業漫画は趣味で好きに描く漫画と同じというわけではありません。
以下は漫画編集者が漫画家の「敵」ではなく大切な「バディ」であると私が考える理由です。
・良いアイディアを出し合える…漫画家はひとりで漫画のストーリーやキャラクターを考える能力はあるはずですが、自分だけで考えたものよりも「こういうのはどうかな?」と漫画編集者にも考えてもらったほうがより新しくて良いアイディアが出る可能性が高まります。
誰でも、自分だけでは気づかない点が必ずあるものです。漫画編集者に適切な指導や提案をしてもらい、一緒に考えることで漫画がより良いものとなります。
・より良いストーリーに調整してくれる…漫画編集者はプロット(漫画の基本的なあらすじ)やネーム(コマ割り、コマごとの構図、セリフ、キャラクターの配置などを大まかに表したもの)を見て必要に応じて修正や調整を提案します。
時には「このシーンとこのシーンの順番を入れ替えて」というようなアドバイスもあります。このおかげで読者がより深く引き込まれる魅力的なストーリーが生まれます。
漫画編集者は漫画の最初の読者として客観的に見る事ができるので、漫画家が自分では気づかないような点を見つけ、アドバイスをすることができます。
・市場のトレンドに詳しい…漫画編集者は漫画をたくさん読んでいらして、市場のトレンドや「今の読者はどういう展開を好むか」に詳しいので、どうしたら漫画がもっとウケるかを提案してくれます。
私は医療漫画を描いていますが「昔はこういうストーリーの医療モノが好まれたけど、最近はこういう感じだよ」など。漫画家が以前読んで良かったと思う話も今はそれほどはウケない可能性もあるわけです。
趣味で描くなら絵柄が古かろうとストーリーが時代遅れだろうと何もかも自由なわけですが、商業漫画というものは売れなければいけないわけですから「今はどんなものが求められているのか」を知ることは非常に大事ですよね。
・スケジュールの管理…これは個人差が有るので私には当てはまらないのですが、漫画家の中にはちょっと時間にルーズな方もいらっしゃるそうで、ほうっておくと締切に間に合わないそうです。
そんなとき「先生!そろそろお願いします」と漫画編集者さんが声をかけてくれれば…最近は昔みたいに「旅館にカンヅメ」などという話はさっぱり聞きませんけどね。
・アドバイスで成長を促す…漫画編集者は漫画家や漫画家志望者に対してアドバイスをすることによって漫画家としての成長を促します。
ここで素直にアドバイスを受け入れて成長につなげることができれば、ぐっと伸びていける可能性があります。私は自分が苦手なことだらけだという自覚があるのでなるべく素直に受け入れるようにしております。
漫画編集者と漫画家の理想的な関係とは?
では、漫画編集者と漫画家の理想的な関係とはどんなものでしょうか?私は現在の担当編集者さんとは良い関係だと思っています…息子でもおかしくないぐらい若い方なのですが、感謝することばかりです。
・本音で何でも話し合える…遠慮してばかりだと、本音や率直なアドバイスが言えません。お互い正直に思ったことを言い合える関係を築けるといいですね。
・共通のビジョンを持てる…作品に対して漫画編集者と漫画家が共通のビジョンを持てることはかなり重要だと思います。
たとえば私が「この作品は真面目な医療漫画だ」と思って描いているのに編集者が「いやいや、医療はそこそこでいいので恋愛描写をメインでいきましょうよ」とおっしゃったら困ってしまいますよね?
共通のビジョンが持てれば、キャラクターの行動、セリフ、作品がどの方向に向かうのか、などスムーズに話をすることが出来ますし、大きく揉めることもないのでは?
・お互いを尊重し信頼できる…漫画編集者と漫画家は互いに知識や経験を尊重し、良い信頼関係を築くことが大切です。
それぞれの立場はあってもビジネスパートナーですし、どちらかが一方的に不満を感じているようではいけませんよね。
相手を尊重して信頼していれば、修正や変更の提案に対しても柔軟に受け入れられるのではないでしょうか。
・お互い成長できる…一方的な関係ではなく、共に成長するつもりで仕事ができるといいですね。漫画編集者も漫画家も、それぞれ一緒に仕事をすることで成長することができると思います。
ドラマ「まんが道」を観ればすべてがわかる!?
藤子不二雄先生の自伝的漫画『まんが道』は昔、NHKでドラマ化されて放送されました。当時小学生だった私は食い入るように観て漫画家に憧れたものです。
手塚治虫先生をはじめ、当時の漫画家たちが実名で登場していて非常に面白く、昔を舞台にしているといっても漫画家を目指す方は必ず見るべき!と思う作品です。
ただ、一部実際にあったこととは異なる部分もありますので、あくまでも「リアルに近い感じの自伝的作品」として御覧くださいね!
↑↑↑満賀道雄と才野茂が上京したあと、いろいろな漫画出版社の編集者さんが登場します。これが、どの編集者さんも個性的でそれぞれ味があるんですよ、ものすごく!!
素直に漫画編集者さんのアドバイスを聞けない?
最高のバディでありたい!
商業漫画は、自分ひとりでできるものではないと思います。ただ1本描くだけなら描けます。私もデビューする前に何本も作品を完成させてコンテストに出したりしていました。
でも、作品をより多くの読者に読まれるようにしたいと思うなら、プロの漫画編集者さんのアドバイスはとても重要だと思うのです…ただし、どの作品がヒットするかは編集者さんでも予測不可能なことも多いそうですけど。
記事タイトルに有る「バディ」は、主に仲の良い友人や協力者を指す言葉です。一緒に時間を過ごし、お互いに助け合ったり支え合ったりする仲の良い関係です。
バディ関係があれば、お互いに信頼し合い、協力し合って仕事を進めることができます。互いを信頼し、異なる視点やアイディアを出し合うことが漫画作品の成功に繋がります。
漫画編集者さんも漫画家さんも人間ですから相性というものはありますが、ある程度付き合いを経て一緒にやっていくことになったのであれば、どうせなら最高のバディになれるようにお互いに努力したいですね!
編集者さんと漫画家さんの二人三脚ですね!
何もかも自分だけでやれると思わないほうがいいのね。