医療ドラマの金字塔『白い巨塔』
フジテレビの2003年のドラマ『白い巨塔』は、フジテレビ開局45周年記念ドラマとして山崎豊子さん原作の小説をドラマ化したものです。
大学病院に勤務する対照的な医師(財前五郎・里見脩二)を通じて医学界のあれこれを鋭く描いた物語です。まさに医療ドラマの金字塔と呼ばれる作品です。
唐沢寿明さん主演のこのバージョンは実はテレビドラマ化されるのは4度目で、田宮二郎さん主演の1978年版と並ぶ高視聴率でとても話題になったんですよね。
実はこのバージョン以外はまだ観たことがありませんので、田宮さん主演バージョンなどもぜひ機会があれば観たいと思います。とても素晴らしいそうなので♪
普通テレビドラマって1クール(10回ぐらい)で終わりですけど、何とこのドラマは第一部・第二部の合計21回も放送されたのがすごいです!!
ちなみに、後に放送された『不毛地帯』もDVDを持っているのですが、こちらも山崎豊子さん原作&唐沢寿明さん主演で2クールの大作ドラマでしたね。
※この記事にはドラマ『白い巨塔』の詳細なネタバレを含みますので、ご了承の上で記事の続きをお読みくださいませ。
くれない会の医師奥たちが怖すぎるwww
教授の奥様方の集まりである「くれない会」。あそこの奥様方の人間関係があまりにも怖すぎます…陰湿なイジメや仲間外れ…まぁ女性の集まりなんてどこの世界もあんなものかしら?
東教授(石坂浩二さん)の妻の政子(高畑敦子さん)のまぁ、ペラペラペラペラ早口でよく喋ること!
何かといえば「佐枝子さん、佐枝子さん」って、よっしーが娘なら嫌気がさして家を飛び出してしまいそうですな。ふぅぅ。
医師の奥様、それも教授夫人クラスになると何かと周囲から嫉妬されたり大変そうに思いますけど、実際はこういう内輪での人間関係のほうがずっと大変なのかも。
収入は多いんだろうけど、くれない会のお付き合いなんかでそれなりに支出もすごーーく多いんだろうなぁと思ってみたり。
着物とか…よっしーは一応持っているけど結婚後は1度も着たことがないです(もったいない!?)くれない会の奥様方はみんな着物でした!
『白い巨塔』は名言だらけ!
『白い巨塔』を観ていると毎回「ウワー、これは名言だぁ」と思うようなセリフが登場しました。まさに名言の山!
こうやって椅子があれば腰を下ろしたくなる。立派な椅子ならなおさらだ。
この世には誰からも好かれる人間なんていないものよ。だって誰からも好かれる人間を嫌う人間というのが必ずいるでしょ?
不安は無いよ。ただ…無念だ…
自らガン治療の第一戦にある者が早期発見できず手術不能のガンで死すことを、心より恥じる。
この中で特に「おっ」と思ったのはケイ子(黒木瞳さん)の「この世には誰からも好かれる人間なんていないものよ。だって誰からも好かれる人間を嫌う人間というのが必ずいるでしょ?」というセリフですね。
確かに、みんなから好かれている人を妬んで嫌う人も必ずいますよね…こうなると、所詮すべての人から好かれることなんて不可能なんだから、自分のやりたいように生きようと思えますね。
教授の総回診は実際に行われている!
ドラマでは教授になった五郎くんがスタッフを大勢引き連れて「総回診」を行っているシーンがありましたが、実際に大学病院では総回診が行われているそうです。
手塚治虫さんの漫画『ブラック・ジャック』の中にも、某有名大学出身の教授と同じ一流大学卒の学閥のスタッフたちが総回診で大威張りしているシーンが描かれていました。
…ただし実際の総回診では教授は先頭ではなく、少し後ろの方にいらっしゃるそうですけどw ドラマだと先頭にいたほうがかっこいいですよね。
よっしーが3年半前に糖尿病で入院した時は、総合病院ではありましたが大学病院ではないので、いわゆる「教授の総回診」というものは無かったです。
ただし糖尿病内科のベテランの女医さんと20代の若い兄ちゃんの先生が2人でやってきて「総回診ですよぉー♪」なんてこともありましたwww
関西が舞台なのに関西弁で話す人物が少ない!?
『白い巨塔』は大阪にある浪速大学という架空の大学を舞台にしていますが、大阪なので当然みんな関西弁を話すはずだと思いきや、意外にも関西弁で話す人物は少ない!?
五郎くんの義父の財前又一(西田敏行さん)はコテコテの関西弁ですが、ドラマの中で標準語でしゃべっている人がかなり多いのが何気に気になりました。
よっしーの夫は大阪出身なので、つい夫の言葉がうつって中途半端に関西弁が出ることのある私です。
で、関西人の財前又一さんが偉い先生方に贈り物をするシーンが笑えました。まず「お嬢さんのご婚約がお決まりだそうですな」は分かります。それと「息子さんの大学、推薦入試で合格されたそうで」もまぁ分かります。
でも3人目の先生に「先生、今年結婚23周年だそうですな」www23周年てwww観ながらコーヒー噴きました!
医師なのにヘビースモーカーなのは良くない!
原作では五郎くんは胃がんになったということになっていますが、今回のドラマでは肺がんに変更されています。
肺がんはタバコを吸わない人でもかかることがありますけど、やはり喫煙者は肺がんのリスクが4~5倍になりますし、健康上何もいいことはありません。
医師はタバコが体に良くないことは重々ご承知のはずですが、タバコをやめることができない医師たちはいらっしゃるそうです。
ドラマの中で五郎くんは事あるごとにタバコを吸っていましたけど、あれはものすごく健康に良くないことだったに違いないです。喫煙しなければ長生きできたかもしれないのに。
タバコも、お酒も、それから糖質も。健康に良くないと思いながら医師でさえついつい手を出してしまうのが依存症の恐ろしさです。
特にタバコは健康にとって百害あって一利なしなので、もし吸っている方はできれば禁煙することを強くお勧めします。
可哀想な五郎くん…彼は悪い人じゃ無かったよね
五郎くんは幼い時に父親を亡くし、苦労して医学部を出て医師になりました。そして、大変な思いをして自分を女手ひとつで育ててくれたお母さんのために仕送りをし、よく電話をかけていました。
貧乏で苦労して育った身であればなおさら、立派な人になって出世してお母さんに楽をさせてあげたいと思うのは当然じゃないでしょうか。
五郎くんは手術の腕が天才的だったので早くから周囲に注目されていましたし、ちょっと自信家なところもあったようなのでそれが東教授にしてみれば可愛くないと思ったのかもしれません。
でも長年一生懸命やってきたのに、絶対五郎くんを教授にさせてたまるかと東教授はよその大学から他の人を連れてきて教授にしようとして気の毒でした。
よっしーが若い頃働いていた職場でも、はっきりいって後輩たちをいじめたり嫌われていても上司にうまく媚びることができる人が出世したりと、どうも上の人のさじ加減ひとつで決まっちゃうところがあったんですよね。。
教授選挙も、五郎くん本人の野望と言うよりはお義父さんたちに強引にそういう風に持っていかれたという感じもしました。教授就任後に患者さんのことが疎かになったのはいただけませんでしたけどね。
原作では五郎くんの年齢設定は最初42歳。肺がんで亡くなった時もまだ40代前半でしょう。よっしーとそう変わらない年齢です…この年齢で亡くなるのは無念すぎるでしょう。
彼が亡くなった後「五郎、よく頑張ったね、ご苦労様でした」と声を掛けたお母さんの気持ちを考えると、涙が出ます…
本当に「良いお医者さん」ってどんな人なんだろうね
多くの方は、里見くん(江口洋介さん)みたいな先生を「良いお医者さん」と思うのだろうと思います。でもよっしーは単純にそうとも言えないような…もちろん里見くんは親切だし良い先生だと思いますが。
患者さんにどう向き合うか、医師としてどうあるべきか、何が正しいのか。これってひとつだけの「正解」があって他はすべて間違っているというようなものではないんじゃないでしょうか。
上に立つことによって初めてできることだってありますからね。どんなに正しいと思うことをやろうとしても、権力を持っていないと何もできないことだってあるんですよね…
患者さんを一人でも多く救いたい、そして苦労を掛けたお母さんのために頑張って偉くなろうと思っていた五郎くんは、大学病院という封建的な場所にいつの間にか飲み込まれてしまったのではないでしょうか…