『火の鳥』には名言がたくさん!
故・手塚治虫先生のライフワークと言える漫画が『火の鳥』シリーズです。連載がスタートしたのは1954年なのですが、いま読み返しても本当にすごい作品だと思います。
よっしーが物心ついたときには自宅に父の『火の鳥』が何冊かあったのでパラパラと読んでいた記憶があります。もちろん、当時はまだストーリーは分かりませんでしたけど。
小学5・6年生の時に全巻きちんと読んでみて、そのストーリーの壮大さに衝撃を受けました。現在中学生の長男にも読ませています。
とても残念なのは、『火の鳥』シリーズが完結しないまま手塚先生が亡くなってしまったことですね…まだまだ読みたかったです💦
さて『火の鳥』には思わず「おおっ…」と声が出ちゃうような名言がたくさんあるんです。今回はその名言の数々を少し紹介しようと思います。
一族を守るためには争うしかないの?
この世に種族がある限り その種族の生きる道は権力の座を争うしかないのだろうか(『火の鳥』乱世編より)
仲良く一緒に育った猿の赤兵衛と犬の白兵衛。しかし、大人になった2匹はそれぞれ自分の一族を守るために争い、噛み合ったまま息絶えてしまいました。
とても切ないです…自分の一族を守るためには、長年かかって築き上げた友情も和解の心もすべて消えてしまうのですから。
異なる種族がうまいこと「共存」「住み分け」できればいいと思うんですけど、それが容易なことではないことはよく分かります。
自分の一族を守ろうとした結果が、お互いに噛み合って無残な姿となってどちらも死んでしまうという結末は、あまりにも悲しいものでした。
この世の終わりまで永久に人間に生まれ変わることはできない!
おまえにはもう永久に…この世がなくなるまで人間に生まれるチャンスはないの!(『火の鳥』鳳凰編より)
火事に巻き込まれた茜丸が炎に包まれた時の火の鳥の言葉です。仏教の因果応報と輪廻転生の考え方ですが、あまりにも厳しすぎる💦
もしかしたら茜丸が、自分より優れた作品を作り上げた我王に嫉妬して彼の腕を斬らせたことが原因なのでしょうか?でも昔、我王は何の罪もない茜丸の腕を一方的に切りつけましたし…
我王は何度も人間に生まれ変わるのですが、どの時代にも醜い顔をしており、それはそれで苦しい満たされない人生を送っています。
この世の終わりまで2度と人間に生まれ変わることが出来ない茜丸と、人間に生まれて来るけれど幸せな人生を送ることが出来ない我王。あなたは、どちらがより不幸だと思いますか?
正しいもの同士の争いは誰にも止められない
宗教とか人の信仰ってみんな人間が作ったもの そしてどれも正しいの ですから正しいものどうしのあらそいはとめようがないでしょ(『火の鳥』太陽編より)
狗族(くぞく)と仏教の戦いの中、火の鳥に助けを求めた犬神は火の鳥に千年以上も未来(21世紀)の光とシャドーの戦いを見せられます。
「こんなにひどい戦(いくさ)なのになぜ止めようとしないのか」という犬神の問いに、火の鳥は「正しいもの同士の争いは止めようがないでしょ」と告げました。
そして「悪いのは宗教が権力と結ばれた時だけです」とも。うーん、確かに宗教に限らずいろいろなことって誰もが「自分たちは正しいんだ」って思っているんですよね💦
「自分たちだけが正しい」と誰もが思っているからこそ争いが生まれる…そして宗教が「権力」と結びついたとき、争いはもっと悲惨な状態になります。
生きる権利があるから何としても生きなければ…
生きるの どんなことがあっても生きのびるの!! あなたに生きる権利があるからよ(『火の鳥』黎明編より)
深い穴の底で生まれ育ったタケルが「穴の外の広い世界を見たい」と言って動物の骨を2本持って崖を登り始めます。
あと少し…というところで力が尽き、手の感覚も無くなったタケルはこのまま手を放して楽になろうかと一瞬考えました。
しかしその時、目の前にいてじっと彼を見ていた火の鳥が彼の心に「あなたは今生きているのだもの…だから生き続けることができるのよ」と呼びかけます。
火の鳥に励まされたタケルは気力を振り絞って、とうとう崖を登り切り、生まれて初めて外の広い世界を見ることが出来たのです。
人間はいつも愚かなことを繰り返すが…
今度こそ信じたい 今度の人類こそきっとどこかで間違いに気が付いて…生命(いのち)を正しく使ってくれるようになるだろう(『火の鳥』未来編より)
AI同士のちょっとしたケンカから、世界の都市全部が超水爆で一瞬にして吹っ飛んでしまった未来の世界。
実は、人類が生まれて滅ぶのはこれが初めてではなく、火の鳥の目の前ですでに何度も同じことが繰り返されてきたのです。
しかし、何度生まれてきてもどういうわけか毎回決まって愚かなことを繰り返してしまうのが人類だったのです。
それも火の鳥は「次の人類こそ…」といつも新しい人類の可能性に期待することをやめないのでした。無限とも言える長い時間の中で。
…いかがでしたか?『火の鳥』をじっくり読み返してみると、子供の時とはまた違った感想を持つかもしれませんよ♪