フジテレビドラマ『アルジャーノンに花束を(ユースケ・サンタマリアさんバージョン)』

スポンサーリンク

ダニエル・キイスの名作!

 

「アルジャーノンに花束を」は、ダニエル・キイスのSF小説です。知的な遅れを持つ主人公が頭が良くなる手術を受けてIQ185の天才になるのですが…

知能が低いことは不幸なことなのか?ただ知能だけを高くすることが幸せをもたらすのか?このお話はいろいろなことを考えさせてくれます。

よっしーはこの「アルジャーノンに花束を」のドラマが好きでDVDを持っています。2002年のユースケ・サンタマリアさん主演バージョンと2015年の山下智久さん主演バージョンがありますが、ユースケさん主演のほうのDVDを持っています。

この記事にはドラマのネタバレを含みますので、まだ観ていない方は了解の上で続きをお読みくださいませ。

 

にゃご
頭が手術で良くなるのか!?もしオレが天才になったら幸せになれるのかなぁ…

よっしー
本当にそう思うかしら?まぁ続きを聞いてね。

 

桜井パン店の経営は大丈夫なのか!?

主人公のハル(ユースケ・サンタマリア)は桜井パン店に住み込みで働いています。同じく知的な遅れを持つミキ(榎本加奈子)も同じく住み込みで働いているようです。

ハルは子どもの時に母にこの桜井パン店に連れてこられて、「いい子にしていたら迎えに来る」と言われ、ずっとそのまま暮らしています。実は母はハルを「捨てた」んですけど…(涙)

このほかに健常者の店員が何人か働いており、お店はそれほど大きな店には見えないのですが、レジに女の子が2人いるなど、なかなか余裕な経営っぷりを思わせます。

 

 

障害のある方を雇うと一定期間助成金が出るとはいえ、なかなかあの桜井パン店の経営は大変なのではないでしょうか!?

健常者の店員たちは毎日のようにハルに意地悪をして転ばせたりしており、小麦粉やリンゴなどの食材、出来上がったパンなどかなりのムダが出ているようですが…

不思議なことに、店主の恭子(中島知子)は彼らを叱ることはないんですよね…これでいいのか!?いろいろ良くないと思うんですけどね。

 

ユースケ・サンタマリアさんの演技が秀逸!

ハルは大人ですが、知能は7歳の子ども程度です。ハルは手術を受けてちょっとずつ知能が上がっていき、超天才になるのですが、じつはその手術には欠陥があり…また知能が低下していき、最終的には手術前よりもさらに知能が低くなってしまいました。

ユースケ・サンタマリアさんの演技はとても上手ですね。知的な遅れがあるハルがだんだん知能が上がっていき、天才になる過程でまったく違和感がなかったです!

 

 

歩き方とか表情、話し方…もちろん、どの出演者のみなさんも一生懸命演じていらっしゃるんですけど、ユースケさんの演技はホント秀逸だと思います。天才の時は天才に見えますし…

山Pはイケメンだし榎本加奈子さんは可愛いですが、ユースケさんはある意味美形すぎない(失礼!)ところがかえって良いのかもしれません。

 

手塚治虫のマンガ「ブラック・ジャック」「ヤジとボク」にも…

手塚治虫さんのマンガ「ブラック・ジャック」の中に「ナダレ」という話があります。これは、ナダレという名前の小鹿を弟のように思っている若い博士が「手術でナダレの知能をもっと高くすることが出来たら素晴らしいだろう」と手術をする話です。

ところが、知能が高くなったナダレと博士に待っていたのは、とても辛い結末でした。ただ知能を高くすることが幸せにつながるのかどうか…ですよね。

 

 

 

また別の「ヤジとボク」というマンガは、まさに手塚治虫版「アルジャーノンに花束を」と言える作品です。

主人公のヤジローは知的な遅れのある小学6年生。母や兄は彼を不憫に思い、兄は大学でネズミの知能を高くする研究をしています。

そして、兄の実験動物であるとんでもなく知能が高いネズミ「ヤジ」はヤジローと友達になるのですが、やはり待っていたのは悲しい結末でした。

 

天才同士にしか分かり合えない気持ち

ハルよりも先に頭が良くなる手術を受けて天才になったネズミのアルジャーノンは、知能が低下し始めてからまるで死を選ぶかのように食事を摂らなくなり、とうとう亡くなってしまいました。

頭が良くなる手術を受けて天才になり、そして高くなった知能がだんだん低下していくというその気持ち…これは世界中で、アルジャーノンとハルにしか分かち合えなかった気持ちです。

 

 

自分たちのことを本当に理解してくれる人が誰もいない孤独なアルジャーノンとハルは、きっと親友以上のきずなで結ばれていたことでしょう。

アルジャーノンの死を目の当たりにしたハルの気持ちは、何とも言えないですよね…そして、最終回では自分が作ったアルジャーノンのお墓を見てもキョトンとした顔をしているハル。

ハルはこうなることを予想していて、経過報告書に「ときどき、アルジャーノンのお墓に花を供えてやってください」と書き残しておくのです。

 

一貫して変わらない母親への愛に涙…

ハルは子どもの頃に母親に捨てられたわけですが「いい子にしていたらいつかお母さんが迎えに来てくれるんだ」とずっと信じているんですよ。

お母さんが昔よく作ってくれたおいしいオムレツのこともハルはよく覚えていて、記憶を頼りに作ってみせます。お母さんの味は再現できなかったようですが…

 

 

知能が高くなって「お母さんは僕を捨てたんだ」ということが理解できるようになっても、ハルは母を恨んだり罵ることはありませんでした。ただひたすら、会いたくて、悲しくて…

ドラマのエンディングは原作とは異なり、以前より知能が低くなってしまったハルを家族として再び受け入れることに決めた母がハルを迎えに来てくれました。本当に良かったです!

 

にゃご
そうか…頭が良くなることが必ずしも幸せにつながるわけじゃないんだな。

よっしー
原作のエンディングをハッピーエンドに変えたことに関しては賛否両論あったみたいだけど、ハルが幸せになって良かったと私は思うわ♪