手塚治虫のライフワーク『火の鳥』の時系列は?未完結の理由とは…

手塚治虫先生のライフワーク「火の鳥」

よっしーは子供の頃から故・手塚治虫先生のマンガが大好きでした。父が手塚マンガ好きだったので、物心ついたときには家にあったマンガを読み始めていました。

中でも手塚先生のライフワークと言われる『火の鳥』はとても大好きでした。初めて読んだのは4~5歳の頃で『黎明編』と『復活編』でした。

当時はさすがにまだよく理解できていなかったと思いますが、復活編のレオナの脳のカットは強烈なインパクトがあったので覚えています。

その後小学校高学年になり、お小遣いでこつこつと全巻を買いそろえて読みました。『火の鳥』は大人になった今でも読むたびに新しい発見があります。

当時よっしーが購入したのは角川版ですが、その後大人になってから内容が違う朝日ソノラマ版の『望郷編』を購入しました。台詞など、かなり書き直されているようですね。

※今回の記事には『火の鳥』のあらすじやネタバレを含みますので、まだ全巻読んでいない方はご了承の上で続きをお読みくださいませ。

にゃご
火の鳥っていうのは、鳳凰とかフェニックス、不死鳥と呼ばれているあの鳥だよな。

よっしー
そうよ、なんと「11ぴきのねこ」のアニメにもゲストで登場しているのよ!11ぴきがマタタビでウットリしている場面の上空に飛んでいるわ。

火の鳥の各編の時系列はどうなっているの?

『火の鳥』には歴史上の実在の人物がたくさん登場します。そのため、時系列は簡単に知ることができます。

古いほうから順番に並べると、エジプト編→ギリシャ編→ローマ編→黎明編→ヤマト編→鳳凰編→羽衣編→乱世編→異形編→太陽編(過去)→太陽編(未来)→生命編→望郷編→復活編→宇宙編→未来編となります。

黎明編で深い穴の底で暮らしていたタケルは、途中火の鳥に励まされながら険しいガケを登り切り、外に出て村を作り、ヤマト編で「おじい」として登場しています。

また鳳凰編で腕を斬り落とされて追放された我王は、長く生き延びて乱世編で「テング」と呼ばれていますよね。

異形編で比丘尼を斬った左近介は、太陽編に登場する傷ついた者たちの傷を癒していています。このように、各編のつながりはわかりやすいものです。

しかし…もっとも未来であるはずの未来編の最後の方では、その後新しい人類がまた生まれて黎明編に続いている?と思わせる描写があります。

そして火の鳥は「これまでに何度も人類が生まれては滅びてまた生まれて滅びるということを何度も繰り返した」「今度の人類こそきっとどこかで間違いに気が付いてくれると信じたい」というようなことを思っているのです。

また未来編のひとつ前の宇宙編に登場する猿田は最初、ちょっと鼻が大きいだけ(?)の普通の人物でした。

ところが終盤で牧村に手をかけたことで火の鳥から「あなたの顔は永久にみにくく、子々孫々まで罪の刻印が刻まれるでしょう」「あなたの子孫は永久に宇宙をさまよい、満たされない旅を続けるでしょう」と断罪されているのです!

生命編に登場する猿田は、「鼻に悪性のできものが出来て、手術してもまた出来る」と嘆いています。

また復活編に登場する猿田は、地球で「変人」と呼ばれ、生命の秘密を求めて宇宙のあちこちをさまよう旅をしていました。

歴史上の人物や西暦などから考えた火の鳥の時系列は、ループしていると考えられます。考え出すとそれこそキリがない…なんと壮大なストーリーであることか!

因果応報とは何と恐ろしいことであることか

『異形編』で、女の子でありながら父親に男として育てられて女の幸せを奪われてしまった左近介は、父の病気を治そうとする八百比丘尼を斬ってしまいました。

ところが、それ以来左近介は寺から出られなくなり、時間が30年前に逆行してしまいます。やがて外の世界で自分が生まれ、成長し、あの時と同じように自分(八百比丘尼)を斬るためにやって来るのです…!

ひとりの尼を斬った罪から今度は自分が同じように過去の自分に斬られる、この無限ループはとても恐ろしいです。

左近介はその罪のため山寺に閉じ込められて出られないのですが、火の鳥から「もし罪が消えていれば、30年に1度だけ自由にここから出ることができる」と告げられます。

その日とは、若い自分が今の自分を襲いに来るあの日です。年取った左近介はその日、寺から出ることができたのに、再び戻ってきて殺されてしまいました。

よっしーは「出ることができたのなら、そのまま逃げれば良かったのに…逃げずに斬られるということは、過去の自分にまた罪を負わせることになるではないか」と思ったのですが💦

ただ、自分が比丘尼を斬った時の比丘尼のセリフと自分が過去の自分に斬られる時のセリフは微妙に異なっています。

いずれ…何度かこれを繰り返したとき、左近介は比丘尼を斬るのをやめる時が来るかもしれませんね!!

また鳳凰編の茜丸は「お前はこの世が終わるまで再び人間に生まれるチャンスは2度とない」と言われていますが、そこまでのことを彼が行ったのでしょうか…ちょっと気の毒。

火の鳥は天国の住人?それとも…

『ふしぎなメルモ』では、1つ食べるだけで10歳年を取ったり若返ったりする不思議な「ミラクルキャンディ」が登場します。

このミラクルキャンディ、天国に住む火の鳥が産んだ金色の卵を材料にして作られています!!確かにあの火の鳥の卵なら、そういうチカラがあってもおかしくないですね。

火の鳥のエジプト・ギリシャ・ローマ編では他の設定と違い「火の鳥の生き血を飲むと3000年生きられる」ことになっています。

また火の鳥は一生に一度だけ卵(ちゃんとヒナが入った卵!?)を産むことができ、無事に子供が生まれると自分は寿命が尽きてしまうという運命を持っています。

エジプト編の冒頭では、火の鳥は天国で鳥かごの中で飼われていて、ある時逃げだして地上に降りて行ったということになっています。

エジプト・ギリシャ・ローマ編+メルモちゃんではその後の他の火の鳥と設定が異なるのか、あるいは火の鳥が一時的に天国で飼われていた(?)だけなのでしょうか…

また『ブラック・ジャック』の「不死鳥」という話では、火の鳥の生き血を飲んで200歳まで生きながらえてきたという老人が登場します。

でも実はそうではなくて…というのが面白いです。手塚先生って、ジャングル大帝のレオの白い体のことも『ブラック・ジャック』の中で医学的に説明しているんですが、こういうところが良いなと思います♪

人工知能(AI)が暴走したら制御可能なのか!?

未来編では、人類はすでに地上では生活することができずに5つの地下都市「ヤマト」「レングード」「ピンキング」「ユーオーク」「ルマルエーズ」で生活していました。

ところが、ヤマトの人工知能「ハレルヤ」とレングードの人工知能「ダニューバー」が激しく対立し、戦争の命令が出され、その命令通りに両都市に超水爆が仕掛けられました。

どういうわけか、無関係のはずのピンキング、ユーオーク、ルマルエーズにも超水爆が仕掛けられており、5つの地下都市は同時に消滅してしまいました💦

人工知能(AI)が暴走したらヤバいことになり制御不可能になる…というのは近い将来、起こりうる話だと思いませんか!?

フェイスブックが開発したAIが人間には理解できない独自の言語で会話を始めたので、あわててこのプロジェクトを緊急停止させたという事件もありましたよね。

このマンガが描かれたのが今から50年以上も前だと考えると、手塚先生の先見の明はさすがだなと言うしかありません。

ただ…未来編のような結末になってしまったら本当に困るので、何とかそうならないように防がないといけませんけどね!!

描かれることがなかった幻の「火の鳥」とは?

時系列で見ると、火の鳥(過去)と火の鳥(未来)のあいだにはかなり時間が空いています。本当は『大地編』『再生編(仮)』『現代編』が描かれるはずだったそう。

残念ながら、手塚先生がこれらを描かれる前に胃がんでお亡くなりになってしまいましたが…完結してほしかったですね。

『火の鳥』は過去、未来、過去、未来、と交互に現代に近付きながら描かれていましたが、最後は『現代編』で締めくくられる予定だったそうです。

手塚先生は自分が亡くなる時=現代として、その直前に1コマでもいいから描きたいと考えておられたようです。実現はできませんでしたが…

『火の鳥』には、飲めば不老不死になれる(エジプト・ギリシャ・ローマ編では3000年生きられる)とされる火の鳥の生き血を求める人々の「生」への執着やさまざまなドラマが描かれています。

その中で描かれている人々は、ある時は「悪」であったり別の場面では「善」であったりしますし、時にはなんと理不尽なのだろうと感じることもあります。

火の鳥に登場する人物たちは必ずしも幸せな人生を送るわけではありませんが、「生きる」ことの意味について深く考えさせてくれるのです。

にゃご
火の鳥はアニメ化されているので、子供と一緒に観るのもおすすめなんだぞ。

よっしー
原作の方は小学校高学年ぐらいの子なら問題なく読めると思うわ♪おすすめよ!